信用回復の道険し
仏の顔も三度撫でれば腹立てる
どんな慈悲深い人でも何度も無礼なことをされれば怒り出すことのたとえとして、
誰もが知っている故事です。
有名な自動車メーカーが3度も顧客を裏切りました。
リコール隠しは過去に2度、そして今度は燃費の不正問題。
信頼はコツコツ積み上げてようやく得られるものですが、
不正や裏切りは一度で信用失墜となります。
今回の三菱自動車の失態を許すことができない人が多いようです。
一番の被害者は三菱を信頼して自動車を購入した人たちです。
私も愛車を所有していますが、自分がその立場になったら怒りよりもショックのほうが大きいと感じています。
信頼して気に入って大枚はたいて買ったのに・・と。
三菱を叩くのは自由ですが、
私は今回の事件は決して他人事ではないと思います。
人間には「良く見せたい」という欲が誰しもあります。
決して三菱を擁護するものではありませんが、
ことが起こって、「そら見たことか」とやんややんやと大衆に混じって罵声を浴びせることが、
自分にとって重要なことなのかを考えるべきです。
「私はそんなことはしない」
私もそう思っています。
でもそれは絶対的なものでしょうか。
どこか心の隙間に「まさか」という坂があって、そこを転げ落ちるとも限らない。
だから、こういった時こそ反面教師として、我が身に置き換えてみることも無駄なことではないはずです。
世間で三菱を叩いている人のほとんどは、三菱自動車の車を持っている人たちではないですしね。
ただ、経営幹部たちは販売所行脚をして、
一人一人の顧客に謝罪することは必要でしょう。
いつも対応するのは現場です。
日産との折衝もあるでしょうが、
経営の根底となっている顧客(消費者)を蔑ろにしては、
三菱自動車の再建は絶対にありえない。
そして、被害者意識の強い日産も同罪です。
OEMとはいえ「日産の軽」として販売していたんですから。
会社は何か事が起こると、こういう姿勢が顕著になるものですね。
今年のサラリーマン川柳にこれを端的に言い表したものがありました。
決めるのは いつも現場に いない人
これになぞらえて一句。
逃げるのも いつも現場に いない人
顧客を大切にしない企業に明日はないと、
今回の事件で新たに胸に刻みます。
© 2015 株式会社エス・モダンホーム.